近頃、健康茶ブームに拍車がかかっており、 種類も山ほどある様子。
でも、このお茶の一番大切なこと・・・
それはね、どうもヤギが知っているらしい
東京から沖縄へ向かう旅は不思議だ。九州を過ぎて
視界が海だけになった後、もうすぐ宮古島、というあたりで
完全に気分が変わる。さらに乗り継いで八重山諸島へ
向かうことで、本当に遠くまで来たと実感するし、
ここが同じ日本なのだと考えると、有難い気さえしてくる。
いや、本当は琉球なのだけれど、。
豚肉を余すとこなく食べるのも、とぐろをまいた真っ黒な
イラブーも、鰹節や、昆布を多用するところも、
ゴーヤーの個性も、沖縄そばも、
琉球独特の文化だとすでにわかっているけど、
行くたびに面白い。薬草もそのひとつ。
以前から石垣島で気になっていたのが「太陽の茶」という薬草茶だった。
これまてのものと違い、身体の為と思って飲まねばならないような感じのない、ブレンドされたハーブティーのよう。
そして、グリーンが強い色合い。説明書をみればうっちん(ウコン)、
月桃、グアバ、琉球よもぎなど当然、薬草の名ばかり。
しかし、よくみると、レモングラスの姿も目立つし、うっちんは少なめにも見える。
このお茶を作っているのは、「ハルサ農園」で、ハルサとはね農民の意味ださうだ。
やさしげな名前も漢字がいいなぁと思いつつ、石垣島にいくたび買って飲みつづけていた。
何種類もの薬草をブレンドするとき、何を中心において、何をアクセントにして、
何を隠し味にするかというバランスが重要だ。
飲み物として、おいしく作ろうとすれば余計に、どんな人がどんな感覚で作っているのだろう? と、 石垣島のふもとにある
農園を訪ねてみたら、薬草の香りがする作業場で、若々しいお母さんと、桜、桃子、カンナという
きれいな名前のくりっとした目の三姉妹が出荷の準備をしていた。
そこへ、にこにこ顔の伊良皆高則さん登場。 まさに、沖縄のお父さんという感じだ。
実は、私は少しストイックな薬草研究者のような人を創造していたので、失礼なことだが、ご本人とお茶がうまく
結びつかない。
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近くの、畑にいって、春、秋2種のうっちんを掘り出しかじってみる。
鮮やかな黄色の苦いが、新鮮な味。伊良皆さんの畑は、
薬草が雑草(それも薬効があったりするらしいが)と混在している。
完全無農薬で、鶏糞や、さとうきびの搾りかすなどを加える以外は、あるがままに育てる。
といっても草取りは、かなり大変で、沖縄は日照りや台風など苦労の耐えない土地柄だし、
夏の暑い日には、この育てかたを公開することもあるそうだ。
晴れ渡った、空と、野生的な畑、小振りの鎌で、レモングラスを買ったときの香りのよさ。
これが刻まれて、乾かされ、お茶になると思うとき薬効以前の食材の大切さに気づく。
石垣島の海沿いの、珊瑚が豊富な弱アルカリ性の土壌は、野菜作りに向き、於茂登山のふもとの開拓地は、パインアップルや、ウコンなど生命力
の強い薬草に向く強賛成らしい。石垣島の農業地図が見えてくる。
じゃあ次は、山にいきましょうと誘われ、がたがたの道を登り、車を止めては、琉球松など自生する植物を収穫する。
太陽の茶はね、15種類くらいの薬草をくみ合わせている。いつか加えたい薬草が、まだたくさんあるそうだ。
"好き" は、大事な判断材料だ。島には、伊良皆さんの好きな場所がたくさんあるという。
道なき道を降りたところにある秘密のせせらぎ、見晴らしのいいダム。
於茂登山の全形が見渡せる高台。作業場に戻り、クミスクチンを刻む。
葉も茎も花も全部一緒。そこで、太陽の茶の繊細さのわけにふと気づいた。
長い枝をつんでは、機械的にザクザクと刻んでいるようだが、涼しげな花を刻む時は、急に動きが遅くなる。
花がいたまぬよう、静かに。その手加減が、お茶に通じるのか。
ところで薬草の味は、ヤギにみてもらうという。ヤギは、おいしいものが大好きで、ヤギが好きなら間違いないらしい。
でも今、農園にご意見番のヤギはいない。 そこでまた気づく。ヤギって本当は、研究好きの伊良皆さんだったのではないですか?
この記事は、
ku:nel「クーネル」
2005年1月1日発行の P116〜119 写真:高橋洋子 文:長尾智子さんです。
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